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木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

木を倒すということ7

気がついたら前回より半年以上の月日が、、、できましたら、どんな話だったか過去記事をお読みください。

木を倒すということについて1 - 木登り日和

木を倒すということについて その2 - 木登り日和

木を倒すということについて その3 - 木登り日和

木を倒すということについて4 - 木登り日和

木を倒すということについて5 - 木登り日和

木を伐るということ6 - 木登り日和

前回、偏心ちゃんでベクトルの合成を確認できました。

今回はツルを厚めにすることでどんなことが起きるのか、実験をとおして確認していきましょう。ツル厚めというのは、材の弱体化を控えめし、強度を保ちたいわけです。

今回の被験体は「偏心ちゃん.mk2」

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だいぶ偏心させました。
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通常の伐倒と同じ手順で進めます。受け口をつくり、追い口を入れます。
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ツル厚めで準備完了
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さぁ倒してみましょう。押して「きっかけ」を作ります。

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倒れません。

当たり前ですが、ツル厚めにすると倒れにくいんです。だって意識的に弱体化を控えめにしているんですから。なので、より強い力で伐倒を進めましょう。伐木ならウインチやチルホールで牽引ですが、ここは実験室なので神の手で進めます。

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アニメーションでどうぞ。

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バターン。結果は、、、

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ほぼほぼ、受け口の垂直方向。ここから次のことが確認できます。

「強度を保って、強い力で倒すと偏心荷重に負けないで、倒せる(曲げて、へし折る方が出来る)」

この理屈を使えば、どんな偏心木でもツルの厚さで、任意のところに伐木ができそう、、、

と期待したアナタ、残念ながら木はアルミニウムではありません。

この実験は理想的な模擬立木「アルミニウムの木」で行いました。この試料特性は、強度と断面積が正比例の関係にあります。また、よく曲がります(粘りがある)。

対して植物である木は、複層的な構造です。樹皮から芯に向かって、特性が異なっております。硬いところもあれば、柔らかいところもあります。金属との1番大きな違いとしては、木の状態によって強度が異なる点です。

私の伐木論で最初のステップは木の弱体化の度合い、木の強度の残し方です。強度を残せば、より強い力できっかけを与える必要があります。弱体化が不適切な状態なのに、強い力で無理やり倒そうとすると木が裂け「バーバーチェアー」が発生したりします。「最適な弱体化」を達成するためには「そもそも、木とはどんなモノなのか?」を知らねばなりません。

ようやくです、ようやく私の伐木論に「木とは、何か?」という問いが出てきました、このシリーズ「木を倒すということ」7回目にしてやっと「木」という単語が登場です。

さぁ、伐木について語れる前提が共有できましたが、私自身「木」については、ほとんど勉強しておりません(苦笑)。木の理解度は「知ってる木?スギ、ヒノキ、雑木」レベルです。散々、 登ったり、切ったりしていますが、 全くお恥ずかしい限り。。。木で遊んだあげく、ようやく「木について知りたいなぁ〜」と、思い始めたぐらいであります。

というわけで、現時点ではこれ以上の伐木論は出てきません、とりあえずは出し切りました。

まとめますと

1.木を弱体化させる

2.弱体化に方向性を持たせる

3.キッカケを与え、自重で倒れてもらう

4.弱体化の方向性と自重方向のベクトル合成が可能(限度はあり、だいたい想像より狭い)

5.弱体化に工夫の余地あり(受け口のみ、樹皮を残した切り方)

また、新たな気づきがあればブログに綴って参りたいと思います。

ということで、このシリーズはひとまず完結にしたいと思います。お読みのいただきありがとうございました(^^)

 

おしまい