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木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

木を倒すということ4

私の伐倒論はビルの爆破解体から始まりました。受け口、追い口の話はまだ先です。

 私の物事へのアプローチは「そもそも」を大事にしています。思考の最初に「そもそも」をつけると、「当たり前」「常識」に対して一度立ち止まって考える隙間ができます。この隙間が大事で、新たなアイデアや改善のきっかけが生まれることがあります。

 「そもそも木を倒すのにチェンソーを使うのが適切なのか?」って問いがあって良いと思います。強度を弱めたいなら電動ドリルでも良いんじゃないかな?とか。

 実際、抜根とかで土にチェンソーを突っ込む「根切り」あるじゃないですか。あの作業、そもそもチェンソーって道具は適切なのか?って思ったり(抜根することないんで、妄想の域ですが)あと松枯れ、ナラ枯れなどの枯れ木処理。許される状況ならチェンソーではなく、ドリルで根元を弱体化させて、ものすごいパワーのヤツの強制けん引で、ほぼ「へし折る」ってのもありなんじゃないかと。チェンソーって切断になっちゃうから弱体化しすぎる場合があるかなって思うんです。穿孔(せんこう 穴開けるって意味)という手段でやるとバランスを保ちつつ対象を弱体化できるかなと。例えると自分が白アリになって、ボキッてやる感じ、、、とかね。

 このように、そもそも論で考えると新しいアイデア、発想が生まれます。漫然と「チェンソーによる正しい伐倒」(常識の繰り返し)をしていても、そこに進化はありません。

 ですので、私はまず「伐倒といえば受け口!追い口!」という思考の常識をぶっ壊したかったわけです(盛大に「常識」を爆破)。そもそも「重量物を倒すってことは、どういうこと何なのか?」が分からないと何してるんだか分からないでしょ、って。

 受け口、追い口は先達の知恵と技術の結晶だってことは百も承知ですが、その結論を盲目的に模倣するだけでは時代に対して無責任ってやつです。我々は常に進化せねばならんのです。(宇宙は開闢(かいびゃく)から常に複雑化(=進化)を遂げているのだ)。

前置きは以上、では続きをば。

 

伐木の手順は、

1.木の強度を低下させる=「伐」

2.姿勢を保っている構造物のバランスを崩す =「倒」

この2段階に分けるべきと考えます。

YouTubeやInstagramでたまに見かける「ロープを引きながらチェンソーで切り進める」作業動画。あれどうなんでしょうね、、、1と2を同時にやってる。起こし木とかでやると思うんですが、もっとバランスを見ながら、ゆっくりとやるべき作業なんではと私は感じます。倒れ始めているのに、チェンソーを使い続けているのとか「もう倒れてるよー!早く逃げろ!」と思っちゃいます。文字通り「伐」ってから「倒」すべき。

1.「伐」について考えましょう。対象木を弱体化させるにあたり、ただ弱体化するだけでは不十分です。我々は「安全に伐倒」をしたい、つまり倒す方向を定めたいのです。

アイスモナカで検証です。


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↓コッチ方向には、壊れにくい。


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↓へし折るならこうでしょう。


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このアイスモナカ、皆さんお気づきのようにツルを表現しています。

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この長方形は矢印方向に倒れやすいです。これに対して木は基本的に円形です。

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↑全方位同じ強度、このままじゃ方向性がない。

なので、丸という全方位に対して強度が均等な状態から、長方形=強度に方向性がある状態に加工する。伐倒手順1.「伐」です。

 

作業手順2.「倒」 バランスを崩し「自壊」を誘発する。道具として、クサビ、フェリング、ロープが代表選手。たまにジャッキ、チルホール(ハイパワー系が必要な理由は、別に書きます)

 

さぁ、実証です。手順1.2を理想的な実験素材「金属」でやってみましょう。こんな実験資材を作りました。「伐倒くん1号」


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※いつも通り生活感丸出しで、すんまへん。

 

つづく

木を伐るということ5 - 木登り日和