Tree climbing ツリークライミング アーボリスト 特殊伐採 SRT DdRT スローライン アンコウフック

木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

特伐やってきました〜

4月から世を忍ぶ仮の姿を変えた私(同業他社への転職)。さすがの木登りバカ一代も環境の変化に体力と集中力を奪われまして、ブログ更新が停滞しております。ブログが更新されないからご心配をしてくださっている皆様ありがとうございます、僕は元気です。相棒のロドリゲス曰く「ニックさんが更新しないと僕のブログのアクセスが何故か増えるんですよw」とな。確かにこの手のブログは更新が途絶えると心配されますな(^◇^;)

でもご安心ください。木登りバカ一代、転職後の初休暇に特伐をぶっ込みましたwww

ビフォー


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左:アベマキ20m超級 右:平日のファッキンジョブに心をやられているロドリゲス氏

 

アフター


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左:木登りして重心改善、伐倒  右:ツリーワークで人の心を取り戻したロドリゲス氏

やっぱりチームワークよくやる仕事って気持ちいいよね。わかるよ。

 

さて、作業自体は特筆するべきことはございません。我がチームは場数を踏んでおりませんが、1回の作業にしっかり計画と狙いをもって取り組んでおります。漫然とした10回より、綿密な1回の方が得られるものが大きいです。我がチームの作業の流れは以下の通りです。

 

ブリーフィング

・対象木を二人で眺める

・お互いが出てきたリギングのイメージを出し合う

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具体的にはメインプーリーの位置、枝に結ぶところはティップかバットか(先か元か)。枝の動くイメージ。どんな道具を使うか。下ろす場所など。お互いのアイディアを出し合いすり合わせを行います。完全な決定でなく、まず、なんとなくの方向性を共有。

 

準備開始

・クライマーが登る

イメージが実際に達成できそうかを確認するためにクライマーがとりあえず登る。作業道具(チェンソーなど)は持たずに樹上を移動する装備のみ。私がハーネスにつける装備はハンドアセンダーとグルグルフック+竿が定番。


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・グランドが道具の準備

クライマーが登り始めるとグランドが道具の準備。ポータを設置したり、必要になるであろうブロック、ロープなどを準備。


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・インカムで追加会議

お互い作業をしながらインカムでコミュニケーションをとり、当初のイメージを詰めていく。実際登って得られた情報をもとにイメージを修正(もっと先に行けた、思ったより進めない)。インカムは離れていても小声で話せるので、お互いの準備を進めながら会議が可能なのが素晴らしい。グランドが道具を取りに車に行っても、クライマーが登りながらでも話しができる。手を止める必要がないので時間を有効に使えます。大声で会話しなくていいもの疲労軽減に◎。

 
リギング設置

・クライマーがグランド(監督)の指示のもと、吊り点(メインプーリーの位置)に移動。ワークポジションをとった後、各種道具を上げる(プーリー、ロープ)。

・プーリーが設置出来たら、その後の荷物(チェンソーなど)はグランドに引き上げてもらう。

・だいたいここで一服(水分補給)、水筒を上げてもらう。

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カット、ロアリング(荷下ろし)

・受け口(のようなもの)を掘り、リギングロープを結ぶ。

・グランドに合図しカット。

(の前に、グランドから見て気になるポジションにクライマーがいると「そっちに枝がいきそうなんで〜」「は〜い、場所かえまーす」のやりとりが入ります)

・段取りしたとおりに下ろす。

 

※想定した通りの動きにならなかったなど問題があった場合は、すぐに改善案を検討。次のカットでは修正版に更新(←ここ超大事)

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グランド荷捌き&枝処理、クライマー次の枝へ

・降りてきた枝をグランドが処理(本当は、ここで人手が欲しい)

・リギングロープを開放、クライマーは次のセッティング

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⇒この繰り返し

 

リギングデザインがバシッと決まれば、あとは動作の繰り返しになるので疲労はすれど作業は淡々と進みます。どんな仕事でもやり方が整理できば、あとは手を動かすだけですな。と言っても、この疲労ってのが肉体労働は大変なんですけどね(笑)

 

「特殊伐採」ってネーミングからすると、易々と身に着けることできない特別技術の塊に思えますが、ちゃんと考えて理屈に抗わずにやっていけば素人でも3年ぐらいでいろいろできるようになってきました。決して魔法のような技術ではなく、抜群の身体能力がなくても、地道にコツコツ教科書通りにやればケガすることなく技術の習得ができます。決して「ケガして一人前」「失敗して覚える」必要なんてありません。私は結果としてケガも失敗もしてますが、ケガをしたから覚える、危ない目に合わないと分からないなんて思いません。ちゃんと頭使えば、ケガをしなくても技術は身に付きます。

特殊伐採に限らず技術の習得はスモールステップ、訓練が肝要です。自動車学校を思い出してください、まずは発進と停止からスタートしたと思います。「車は2,3回ぶつけないと運転は覚えられないよ」なんて自動車学校の教官は言わないですよね。それと同じだと思います。

と、真顔テイストで書いてしまいましたが、実際はインカムを通してバカ話をして笑いながら作業をしています。私が登っている木が揺れれば、ロドリゲスがZARDの「揺れる想い」を口ずさみ、ウルトラスリングをあげてくれと頼めば「ウルトラソウル!」と叫ぶ。誰もが頭の中で思い浮かび、だけどこれを言ったら恥ずかしいから言わないそんなフレーズをロドリゲスは惜しげもなく披露してくれます。なんとハッピーな現場なのでしょうか。緊張とリラックスのバランスを保ちながら作業をしています。(ロドリゲス監督は天才なので全て計算をしてやっているはずです)

以下、伐倒の風景

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↑おじさんと若いおじさんが手をつないでいますが、本人たちは真剣そのものです。たぶん。
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↑大径木の伐倒はロドリゲスにお願いしています。我々は場数を踏めないんで、このような経験値を積める機会は貴重なんです。この機会を均等に割ってしまうとレベル5の人間が2人できあがります。しかしどちらかに寄せるとレベル10の伐り手が誕生するわけです。そのピークがチームのレベルになると私は考えます。なので仕上げの伐倒はロドリゲスに振ることにしてます。本人は遠慮しますが大径木の場数は彼の方が踏んでいます。

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↑臨時目立て。バーが長いんで親ビンがブレーキ係をやってくれてます。私はソーチェンを頭から擦るのでこんな形になりました。
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↑伐倒後です。伐倒はツル厚めのロープウインチ(イタリア男)とチルホールで引き倒しました。枝が広がっており重心の読みが難しい木でしたがロドリゲス氏グッジョブでした。
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↑こんなサイズでした。我々にとっては太っとい木でした(^^)

 

久々の記事更新で、だいぶ長い記事になっちゃいました。お読みいただきありがとうございました(^^)

 

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