「樹木になると何か特別なものとして捉えがちだが、本来は立っている構造物を倒すと考えるべき」
物事には表面と本質があります。
これら2つ(ビルと樹木)は全くの別物に見えますが、本質的に同じものと私は捉えます。両者に共通するのは、、、
1.直立した構造で
2.質量(重さ)があり、
3.その重さを自ら支える強度がある
です。この3点において樹木とビルは同じです。本質が同じなら、倒し方の本質も同じです。
ビルの倒し方(爆破解体)
木の倒し方(クサビ伐倒)
爆破解体とクサビ伐倒、表面上は全く違うことに見えますが、本質は同じです。
1.人為的に構築物の1部の強度を弱め
2.構築物のバランスを計画的に崩し
3.構築物自身の重さによって、任意の場所に倒す
爆破解体のアニメーションを観察しましょう。
直立状態
上から1/3あたりを爆破し構造物の一部の強度を低下させています。
同時にバランスを崩しています。破片と粉塵の出方から左側の部分を破壊しているようです。
壁や柱の支えを失った方に傾きました。
落下してきた上部の重さに耐えきれず、下側が潰されていきます。
左側への傾きはさらに大きくなりました。
下側から1/3あたりが、へし折れたようです。あらかじめ右側の強度を低下させていたようです。
さらに根元がへし折れて爆倒完了
一枚目の写真に丸を付けました。
黒い幕が張ってあるところ(赤丸)の強度を事前に低下させていたんだと推測します。模式図にしてみましょう。
赤い部分があらかじめ強度を落としていた部分と推測します。1番上の部分を爆破して後は自重で倒壊。今一度アニメーションで確認しましょう。
爆破はキッカケに過ぎず、弱められた赤い部分で倒れ方を誘導しているのが分かるかと思います。
↑我々にはお馴染みのこの形。ビルの爆破解体とやっている本質は同じです。バランスを崩したら後は自重。
私が伐倒で重要なのは「バランスの看破」と「弱体化による誘導」であると主張します。受け口角度、追い口の高さは方法論の一要素でしかありません。しかも、方法論はケースバイケース45度で足りないことあれば、十分な時もある。
私の友人に料理人がいるんですが「天ぷらって、どのくらい揚げればいいの?」「んー、(真剣な顔で)揚がるまで」って(笑)。職人技の確信をついた回答だと思いました。
受け口の角度やら追い口の高さについて一喜一憂する必要はなく、倒せたらそれは正解。もちろん、なんでもありって意味じゃないですよ。上記の2つのポイントを抑えて狙い通りのことができれば、受けの角度、追い口の高さとかどうでもいいと思うわけです。(技術力を身につけるために30度、45度、60度と切り分けられるのは大事。これはまた別の話し)
つづく
爆破伐倒は0点です。