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木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

キマルバイスを使った目立て

長野県にあるキマル技研さんが、開発したソーチェン固定の為のバイス、購入しました。

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キマルバイスの存在は、目立てについてネット検索をしている時に発見しました。ふむふむ、こりゃいいじゃないか?と木製にて試作をしたところ、コレが素晴らしい。(木製の写真撮っておけばよかったな、、バラしちゃった)

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キマルバイスのおかげで目立ての固定観念が吹っ飛びました。

 

無条件に受け入れてきたヤスリの向き。

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この方向が正しい、逆だと刃を丸めちゃうから。

みんな、そう思っているんではないでしょうか。直感的に。

しかしコレは、思い込みでした。

 

検証してみましょう。

大根(人参でも可)とおろし器を用意してください。

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写真のように、斜めの線を引きます。包丁で筋を入れました。

この線のとおりにすり下ろします。

やり方は、2通りを試します。

1、引くだけ

2、押すだけ

さぁ、やってみてください。

 

どっちの方が、先端を作りやすかったですか?

僕は、圧倒的に押す方が作りやすかったです。

引く方が作りやすかった方、あなたは才能あり、天賦の工作センスありです。強靭な筋力と完璧な運動制御できてますよ。

↓押した場合

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簡単に三角が作れます。

↓引いた場合

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引いた場合は、尻側がどんどん削れていきます。先端に力を込めないといけませんが、力を込めると尻ももっと削れます。

 

押した場合は、頭からチェーンソーを研いだ場合と似ている状況です。

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引いた場合は、尻から研いでいる状況。

大根をソーチェンだと思って見てもらえれば、言いたいこと伝わりませんかね、、、。

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おろし金が、動いていると思ってもらえば、理解していただけるかと思います。

 

チェーンソーの目立てで1番認識しなきゃいけないのは、

「我々は、何を研いでいるのか?何を研ぐべきなのか?」

哲学的な問い方ですが、答えはしっかりあります。

これの回答はズバリ

「カッティングポイント」

です、間違いなく。

1番最初に木に食い込むところ、カッティングポイント。だから1番最初に食い込むところが、1番刃がついているべき。

 

またまた、包丁で体感実験できます。

きゅうりか、トマトを出して包丁を当てて引いてみてください。

だいたいの家庭包丁は刃がついてないから引いただけでは切れないと思います(失礼な、ウチの包丁は丸めたティッシュでも切れるんだ!って方。ごめんなさい)

特にトマトなんかは、たいがい切れないんじゃないでしょうか?

ちょっと力を込めて歯を押し付け、引いて、はじめて刃が入る。そして、刃が入ったらスッと切れる。

こんな感触ではないでしょうか。

何が言いたいか説明しますと。

刃がついてない包丁でも、一度刃が入れば、そこからは何とか切れるんです。

大事なのは、一発目、ファーストインパクト。

包丁は、刃がついている部分をどこからでも選べるんです。先端でも、手元の方でも。一発目は、刃が残っている部分から刃を入れれば良いのです。

きっと、無意識でそうやって包丁を使っているはず。そして、いよいよ刃が全部落ちると、「あーこの包丁切れないなー」って、やっと思うんです。実は、とっくに刃はおちてるんですが。

ちなみに切れる包丁は、料理が楽しいですよ。こまめに研ぎましょう。

 

一方、ソーチェンは、最初に木に入る部分を選べません。

必ず、カッティングポイントから入ります。

ソーチェンは、必ずカッティングポイントから入るんです。

 

だからカッティングポイントに1番刃がついてなきゃいけない、だからそこから研ぐべきなんです。

(もちろんベストなのは、カッティングポイントを始点にし上刃、横刃に完璧な刃がついている事です)

 

大根すり下ろし実験で確認したようにカッティングポイントに刃をつけるなら、カッティングポイントからヤスリを当て始めないと難しい。

カッティングポイントから遠いところから擦ってカッティングポイントに刃をつけるのは至難の技です。

 

じゃあ何故、この至難の技が常識となっているのか?

 

それは、頭から研ぐとソーチェンがビビり(揺れ)、ヤスリが擦れないからだと思います。

そもそもヤスリが擦れなきゃ、研ぎ方も何もありません。だから、ビビらない方向から研ぐ=ヤスリの当てる方向はお尻から研ぐべき。

尻から研ぐのが正しい。

正しいから、切れるんだ(常識)

頭から研ぐときれなくなる(非常識)

となったのではないでしょうか。

 

本当は妥協の研ぎなのに。悲しいかな妥協の研ぎが、口伝で正しい研ぎになってしまった、、、。そして、理屈的に正しい研ぎ方は、非常識になってしまったのではないでしょうか。仮説です。

 

じゃあ、妥協しないで頭から研ごうよ!環境が揃っているなら、そう!頭から研ぐべきです。

 

キマルバイスは、ガッチリとソーチェンを固定してくれて、ビビらない環境を与えてくれます。

だから、頭から擦れる。

 

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ガッチリ、ガッチリ。

頭から擦れます。

 

製作者の北川原さんからは、軽トラ荷台に付けることを勧めてもらいましたが、私は軽トラ持っていないのでステーで板に固定しました。

擦るとビビりが板に逃げる感じで、悪くないです。ワンストロークで、金属粉がたくさんでます。

上手くなれば、ツーストロークぐらいで充分になれるんじゃないかな?

ただ、面白いように研げるので、刃がどんどん減ってしまいます(笑)

 

で、頭から擦った実際の切れ方ですが、このぐらいのおが粉になります。(キマルバイスを入手前の木製試作時の写真です)

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ちなみに、ソーチェンは、ハスクバーナ のSP33G X-CUTって名前のソーチェンですね。タイストラップが一箇所金色で、目立ての目印になって良い、オシャレ。
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この写真はチェーンソーデビューしてから当時三か月の素人の目立てです。それにしては上出来じゃない?と本人は、思っていますが、どうでしょうかね。

ちなみにヤスリは、丸ヤスリです。

 

頭から擦る環境を与えてくれるキマルバイス。最高です。単純な構造ですが、ガイドバーの固定方法など、なるほど!という点が沢山でした。

軽トラなくても、使えます。固定しなくても振動を板に逃すことで、刃がビビらせないことができることを発見しました。研究の余地ありですが、ガッチリ固定しないでも、使える方法があるという、逆転の発想を得たような気がしてます。

あー、早く目立てしたい!

 

追伸

大根実験で、三角を作ってますが、ソーチェンの形が作りやすいということだけを言いたいのではありません。

ソーチェンの形は、切削自体には影響がないと思ってます。肝心なのは刃先がどけだけ研げているかだと思います。(ノミは平らですし)

刃先がどれだけ薄くなっているか、と言いかえてもいいかも。

で、1番薄くすべきはカッティングポイントで、薄くしたいところから、ヤスリを当て始めるべき。ってのが、大根実験で言いたいことでした。

 

【マニアックすぎて誰にも伝わらない余談】

ソーチェンの形は包丁でいうところの直刃か、ハマグリ刃、どちらが優れているかって議論と同じようなものかと。一発の切れ味はよくても、食材の離れやすさがないと切れなく感じたり。

何かを求めれば何かが減る。落とし所は、自分の用途、究極好み次第ってところですかね、ソーチェンも。

 

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