Tree climbing ツリークライミング アーボリスト 特殊伐採 SRT DdRT スローライン アンコウフック

木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

【検証】スプライフ®️

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この木に登っているときに、ランヤードのスプライスが抜けました。

幸い抜けた瞬間は、SRTとDDRTで2点確保していたので、墜落も、振られて幹に激突もありませんでした。

その瞬間は何が起きたか分かりませんでした。体を木に寄せようとランヤードを締めた瞬間カチリン!カラビナがブラーんです。

もし、これだけしかなかったら、大変なことになっていたと思います。運良く生還したので、なぜこんな事が起きたのか振り返り検証をしました。

今回抜けたスプライスは、Teufelberger のスプライスのプログラム「スプライフ」で作成したものです。スプライフにチャレンジしたい人。また、作成済みの方の参考になれば幸いです。

 

抜けたスプライスは、ポピュラーなダブルブレイドクラス1のスプライスではありません。やっぱり自作のスプライスは、危ないなぁ〜と思った方、そんなことはございません。クラス1は、完成すればすっぽ抜けることはまずあり得ません、そんな構造になっております。

今回のすっぽ抜けスプライフは、スティッチをしていませんでした。スティッチをしていれば、こんな見事なすっぽ抜けはなかったと思います。しかし、スプライスはスティッチで強度を確保するものではないと私は理解しております。スプライフも、同様だと思います。何か根本的なところで私はミスを犯していたはずです。

まずは、抜けたものと、(まだ)抜けてないものを並べてみました。

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この時点で、アウトなのが分かります。本来は、点線の間の部分まで折り返しのロープ先端が届いていないといけません。点線部分で、コアとカバーが交差して強度が出る設計です。成功したスプライフは、右側の点線までロープが入っているはずです。スプライフはクラス1のスプライスと比べて、ものすごくネック部分が長いはず。

さて、コアも出してみましょう。はい、ダメなのがハッキリ分かります。全くコアとカバーが重なっていません。これでは、抜けて当然です。

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正直、愕然としました。何でこうなったのか、カバーとコアがあまりに離れているので、スプライス自体を間違ったのかと思いました。作業を記録した写真を振り返ってみました。

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カバーの埋め込み位置、出口、コアの出るところに問題はありません。ここまでの手順は、良しでした。

そうすると、問題はこの工程です。

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ここです。この最後にコアとカバーを埋め込む作業でミスをしたのです。※写真は、抜けたスプライスの作業写真がなかったので、作り直し時の写真です。

マニュアルでは、カラビナ側、反対側2回たるみを取れと書いてあります。

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サラッと書いてありますが、このたるみをとるmilk作業が油断大敵ポイントでした。私は、マニュアル通り2回たるみを取りましたが、最も大事なことを見落としてました。

「何回たるみをとるかではない。たるみが取れたか、それが問題だ」

たるみをとることが目的で、マニュアル指定回数をこなすことが目的ではないのです。私は、初めてのスプライフだったので、とりあえず指示通りやっておけば良いだろうと、最も馬鹿な選択をしていたわけです。

この発想、判断はこういう命がけの道具、作業では最も愚かなことだと反省しております。

今回のスプライフで言えば、このスプライスの強度を保つ原理を理解しないまま作成したのが致命的です。

Teufelberger の手順だから大丈夫だろう。いやいや、手順なんてどうでもいいのです、teufelbergerに従わなくてもいいんです。物理法則に沿っているのか、コレが1番大事だったはず。

何回たるみをとっても、物理法則に従ってなければアウト。Teufelbergerだから大丈夫なんてことはないんですよね。勘違いしてました。変な知識がついてきたんでしょう、ブランドを悪い意味で信用し始めていたようです。

この道具だから大丈夫、この道具だからダメってことはない、理にかなっているかを自分で判断しながらはじめたクライミング。原点回帰の命拾いです。スプライフよ大事ことを思いだしたよ、ありがとう。

話が脱線しました。

そんなこんなで、スプライフは、たるみが残ったまま最終工程(カバーとコアの埋め戻し)に突入すると外皮カバーに飲み込まれすぎてこの悲しい状態になります

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スプライフに挑戦される方、ご注意ください。以上、私の命がけの記事でございました。

ご安全に!