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木登り日和

特殊伐採にあこがれるサンデーツリークライマー(平日サラリーマン@デスクワーク)

プーリー効果について 倍力のお話

我々にとって力学は、必修科目であります。意外と分かっているようで、なんとなくで済ませちゃってるプーリー効果、倍力(動滑車)に注目したお話です。

DDRT、MRSと呼ばれるロープ二つ折りねシステムは倍力システムになってるなんて事は、皆さんご存知のはず。

↓分かりやすい、動滑車の図。

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倍力システムには必ず動滑車が存在してます。この写真だと赤丸で囲ったココ。

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長さを倍引っ張るけど、力は半分で済む。これが動滑車の原理。バカバカしいかもしれないけど、一度、上の写真と同じことやってみてください。出来るだけ滑らかなプーリーをかませて、倍力の素晴らしさを再認識できます。

 

DDRTでのクライミング時によくある風景。次の写真の動滑車はどこか、ちょっと確認してみましょう。

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動滑車は、どこ?

ココ。

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滑車はないけど、動滑車はココです。

「いや、それは枝だ」と思ったあなた。こう見たら、ちょっと納得いただけませんか?


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ピンときましたかね?そうなんです、そういうことなんです。同じことしてるんです。

動滑車側が動いているのか、引っ張っている側が動いているのかは、関係ないのです。現象としては同じ。「動滑車」の位置は変わりません。

滑車(プーリー)が動滑車とは限りません(←ここ大事)。

 

次の写真。動滑車はどこかしら?

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ココです。

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よくあるロープのたるみを取る動作。この時倍力が働いてます。ハーネスのブリッジなんかを、ピンと張ることができますよね。

 意識してやってみれば分かります。たるみをとるの楽じゃありませんか?片方引っ張り、片方押し出す。動滑車だから楽なんです。動き自体が楽なのではありません、1/2の力でブリッジを引き締められてるから楽に感じるんです。

もちろんSRSでこの動きしても倍力は発生します。

 

ちなみに、地面に足がついていない状態(ぶら下がった状態)で、この動きをした場合、動滑車の効果はなくなります。

力点、支点がどこにあるかで動滑車が存在したり消えたりします。(←ここも大事)

 

こちらの写真は、ちょっと足が地面に付いている状態。上部のプーリーが動滑車ですが、動滑車の働きは弱いです。

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足を上げて、完全にぶら下がった状態の方が、動滑車の働きは強いです。立っていると、少なからず足を伝って体重は大地に逃げてます。

ただ実際は、足が木についてた方が登りやすかったりします。コレは、腕の仕事量が単純に減るから。

 

テクニックとして、腰を振りながらボディスラストすると楽に上がる方法がありますが、アレは動滑車の効果より、反動で重さ自体を瞬間的に軽くしているから、楽に上がれるんだと思います。ボディスラストは木を足で蹴りますもんね(歩くという表現の方が近いかな?)。

動滑車を「フル活用」するという意味では、荷重はハーネスに預けるが正解だと思います。動滑車だけに着目した理屈だとですね。体力、筋力をトータルで考えると体感的には違ってきますから、誤解しないでくださいね。完全ぶら下がりだけで、登ると間違いなくバテます(笑)

ツリークライミングしてると足の筋力の素晴らしさも実感できますな。

 

力学は、理論がそのまま体験につながる非常に面白い学問であると私は思います。アーボリスト向けの教材ではなく、普通の理科の参考書などで原理を理解すると現場で誰も思いついてないテクニックを発見出来るかも?!

 

おしまい